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第6回 面接1週間前にわかった志望理由の致命的弱点
 

1週間後に保護者面接がある。一問一答の文案をチェックしてほしいというメールをいただきました。

保護者面接で志望理由を聞かれたら、どう答えたらいいか。
メールの差出人は「①子どものたっての希望」と答えています。本人がこの学校に通いたいと強く希望しているようです。何も問題はなさそうですが、志望理由の最初にもってくるということに対して、クビを傾げる面接官がいるかもしれません。志望理由が4つも5つもあって、強いてもう1つ付け加えれば・・という程度なら問題はありません。しかし、志望理由の1番目というのは感心しません。

たかだか5〜6歳の子どもです。小学校だけなら6年間、大学までの一貫校なら16年間通うことになります。受験を子どもの意思で決めてしまうのかと保護者の姿勢に疑問が出るかもしれません。これほどだいじなことに対して子どもの希望を最優先したのか、志望理由はそんなにも軽いのかと誤解されるリスクがあります。

どこの学校でも、合否に関しては、校長先生をはじめとして試験に立ち会った教員のほかに、経営陣(理事)も参加した合議制になっています。志望理由の真っ先にもってくるべきは、子どもの希望ではなく、これこれの理由で我が子を御校に通わせたいという保護者の確固たる意思ではないか、もし、会議の場でそうした発言が出たばあい、反論しにくいでしょうね。やはり不利な材料となります。「子どもがここがいいと言ったので・・」では説得力に欠けます。

志望理由の2番目に保護者が強調したのは、「②家庭の教育方針と御校の教育方針が一致した」です。志望校と家庭の教育方針の一致は大切であることはその通りです。しかし、何人かの校長先生にお聞きしたところ、この学校の生え抜きで育った自分でさえ、創立者の理念、理想、小学校教育に対する基本的な考え方・姿勢が十分に理解できているとはいえませんとおっしゃっていたことが印象に残っています。

そう簡単に本校の教育方針のなんたるかが理解できるはずもない。これが面接官の本音とおもってください。志望校のホームページを読んだくらいのことで、教育方針の一致を強調されると腹を立てるかもしれません。

そもそも受験校の教育方針と家庭の教育方針が合っているかどうかは、受験する側が決めることではなく、面接官が判断することです。願書であれ、面接で質問されたときであれ、教育方針が一致したから志願したと書いたり口に出すのは控えたほうが賢明です。

本校の教育方針とご家庭の教育方針との一致点はどこですかとストレートに聞いてくるばあいもあります。そのときには、御校のこれこれの部分に興味をもちましたとか共感しましたと控えめに答える程度で十分です。

お問い合わせをいただいたお母さんは面接時の一問一答に神経を尖らせていましたが、問題は、願書の志望理由欄にも同じようなことを書いてすでに出願していたことです。面接官は、保護者面接の前に願書を読んでいますから、この時点で、願書を書いた保護者に対して「何らかの先入観」をもったかもしれません。もし、願書を出す前にご相談があれば、①②は願書から削除してくださいと申し上げていました。

メールでお問い合わせをいただいたお母さんのばあい、保護者面接の1週間前まで、小学校受験ではタブーに近いミスを見逃していたことになります。受験準備は何から始めるか、くどいようですが、わが子を私学に通わせる理由をしっかりと固めてください。そうすれば幼児教室探しも志望校選びも受験対策も自ずと方向が見えてきます。