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第8回 なぜ父親が願書を書いたほうがいいのか
 
 

願書は母親が書くケースが多いようですが、できれば父親が書くことをお勧めします。

その理由はいろいろあります。まず、読み手(面接官)は、この保護者は本気で本校の入学を希望しているという印象をもちます。たとえ3〜4行の志望理由であっても、何としてでも本校に入学させたいという父親の熱意は面接官には伝わります。母親が書いたものでは熱意が感じられないとか本気度が弱いという意味ではありません。「父親も本気」であることが推測できるのは、これは大きなポイントになります。

近年、合格辞退者の続出という問題に各校とも頭を痛めています。極端な例かもしれませんが、一次募集で定員に達しなかったため、二次募集をしたところ、合格辞退を見込んで二次募集枠の2倍の合格者を出したのですが、定員には満たなかったのです。

一般的に、受験校(園)は5〜7校といわれています。入学するのは1校ですから、残りの受験校(園)は、合格していたとしても辞退せざるを得ません。学校側にしてみれば、事前に入学の意思を確認したいと思うのは当然です。その一つの目安として、「父親が書いた願書」なら本気度がちょっとは違うはず‥‥と期待しているのです。滑り止め受験や試験慣れのための受験であれば、願書は妻に丸投げしてしまうのではないか、そういう感想をもっていた校長先生もいました。

願書は父親が書いたほうがいいという第2の理由は、それが父親の面接対策になるからです。「志望理由をお聞かせください」とストレートに聞いてくる場合はいいのですが、「お子さんはどんな生き方をしてほしいとお考えですか」などと変化球が投げられてくることもあります。

妻が書いた志望理由を暗記しただけではとっさに対応できません。志望理由や家庭の教育方針などは、簡単なようですが、なかなかむずかしいのです。「どんな子に育ってほしいか」「どんな生き方をしてほしいか」そのために、どう育ててきたか、育てようとしているか、そして、そのことが志望理由にどう結びつくのか、そこまで考えないと、「いい志望理由」は書けません。

「記入者名」を書かせる願書もありますが、多くの場合、父親が書いたか母親が書いたかはわかりません。しかし、男親と女親のどちらが書いたかは、読み手はよくわかるようです。この「願書・面接資料の書き方」講座でも、文案はメールで送られて来ますが、書かれている内容で父親が書いたか母親が書いたかはほぼ推測できます。

父親の視点と母親の視点は微妙に違うのです。母親の場合、幼児教室などでアドバイスされていることもあって、志望校のどんなところがよくて志願したのかに力点がおかれていますが、父親の場合、わが子の将来を考えた上での志望理由というケースが多いのです。

どちらがいい悪いの問題ではなく、まさに男親と女親の視点の違いなのですが、父親が書いた志望理由のほうが面接官の心を打つ・・と、ある校長先生からお聞きしたこともあります。